BLADE 感想 古いヴァンパイア観をぶち壊すスタイリッシュファンタジー・アクション映画
本日見たのはウェズリー・スナイプスさん主演のアクション映画、ブレイド。
自らも半吸血鬼でありながら吸血鬼をぶち殺す、ヴァンパイアハンターブレイドの活躍を描いた映画です。
これがまたキレッキレのアクション映画で、しかもそれに留まらない面白さがあったように思います。非常に楽しめました。
あらすじ
主人公ブレイドはデイ・ウォーカーと呼ばれるハーフヴァンパイア。
相棒である武器職人、カーティスとともに吸血鬼を狩りながら、母を殺した犯人を追っていた。
彼はある日ヴァンパイアに噛まれた女医カレンを助けたことが切欠で、宿敵フロストへ繋がる手がかりを発見する。
フロストを追ううち、奴の目的がヴァンパイア達の神「マグラ」を復活させ、人類を支配することだと知るブレイド。
彼を止めようとするブレイド。だが同時に、フロストはその儀式のために必要なブレイドの血を狙っていた。
ブレイドはマグラ復活を阻止し、フロストを倒すことは出来るのか……?
感想
ヴァンパイア、という言葉を聞いた時、多くの場合古ぼけた洋館もしくは城に住む、色白で高貴な服装をした老紳士を想像するだろう。
人里離れた僻地に住み、まだあどけなさの残る少女を魅了し、その血を啜る。静かでしかし恐ろしい怪物。
吸血鬼『ドラキュラ』がもたらした普遍的な吸血鬼観だ。
この映画に出てくるヴァンパイアは、そういった昔懐かしの伝統的なヴァンパイアとは少し違う。
それは開始早々、冒頭のシーンから解る。
吸血鬼達はナイトクラブで派手な音楽に乗って踊り、風体は娼婦やチンピラのようなそれだ。
彼らが啜るのは生娘の血ではなく、スプリンクラーから吹き出す"血のシャワー”。
所狭しと並んだ吸血鬼たちが歓声を上げながら天井から降り注ぐ血を飲み下す様子は、古い吸血鬼観を粉々に破壊してくれる。
思うに、この作品以前と以後とではフィクション全体で見た吸血鬼のイメージも変化しているのではないだろうか。
それを狩るヴァンパイアハンター、ブレイドの外見もまた凄まじい。
パッケージから解るように、主演ウェズリー・スナイプスは筋骨隆々の黒人だ。メインの武器は十字架や杭、それを打ち出すボウガンなどではなく、改造ショットガンと特殊合金性の日本刀。
体を覆うのは防弾加工されたプロテクターに、黒いロングコート。どれも現代的でいて洗練された、今風の格好良さがある。
ヴァンパイア映画で、これか!?とがっかりする人も居るかもしれないが、私はむしろこれだからこそいいのだ、と思う。
なにせこの映画の舞台は現代。そこに昔ながらの吸血鬼がいるという方がミスマッチだろう。吸血鬼の姿も、それを狩る物の姿も、時代によって変わって行くのが当たり前だ。
今、現代にヴァンパイアが居たらどうなるか?彼らはどんなふうに暮らしていくのか?どんな脅威があるのか?
古い吸血鬼観に囚われることなく、独自の現代に沿って変化した新しい吸血鬼を描こうという気概が、作品全体から感じられる。
新しい吸血鬼を書く、という気概は作中のストーリーにも反映されているように思える。
それを象徴するのが、ブレイドの宿敵でありこの映画のラスボス、フロストだ。
着崩したシャツにスカした革ジャンを身にまとったラフな格好は如何にも現代の若者と言った風で、言動も野蛮で暴力的。
彼は所詮吸血鬼は闇に潜むもの、人間と共存しなければ生きてはいけない、という他の吸血鬼達の忠告を無視し、血の神を目覚めさせ人間を支配しようと企んでいる。
ここで出てくる、フロストを止める吸血鬼達の描写が面白い。きっちりとしたスーツを身に纏い言動は理知的。己の血統に自信を持っている事が伺える。
彼らは、まさしく今までのステレオタイプな吸血鬼として描かれているのだ。
ストーリーが進むと、彼らはフロストに実にあっさりと殺されてしまう。純粋種として偉ぶっていたのに、弱すぎではないかと思わないでもない。
しかしこれは間違いなく狙った描写だ。変化を嫌う者は、例え強大であっても変化を受け入れた物には勝てない。
言い換えれば、古いものに縋っているようでは、新しいものを取り入れた者達には勝てないのだ、という事を映画を通して語っているのだ。
こうした、古い物が新しい物に淘汰される、という描写は他にも見られる。
相棒であったカーティスは物語途中で死に、ブレイドを支えるポジションは女医カレンへと受け継がれる。
なにより、フロストの末路もその構図に当てはまる。
終盤、彼は古文書を読み解き、血の神「マグラ」の力をその身に宿す。
神となったフロストは腕を切られようが胴を真っ二つにされようが瞬く間に再生し、どんな攻撃も効かない。ブレイドは一度は窮地に立たされる。
そんな無敵の存在となったフロストを殺すのが、女医カレンの作成した吸血鬼用の毒薬。
薬を立て続けに注射され、フロストは遂に爆発四散、木っ端微塵になり消滅する。
吸血鬼に変化を求め続け、他の変化を拒む者達を圧倒してきた彼が、血の神という古い力に縋った瞬間、毒薬という科学によって作られた新しい力で敗北するというのは、まさにこの映画を象徴するラストだろう。
勘違いしないでほしいのだが、この映画は古いものを馬鹿にしているわけではない。むしろ、そういったものに対するリスペクトも随所から感じられる。
ブレイドが日本刀という、まさしく伝統的な武器を使用しているのもそうだ。いや、これは単に日本文化が好きだからかもしれないが……
あっさりと死んでしまう吸血鬼の親玉達の言い分も、見ているとかなり的を射ている。
「人間たちとは共存しなければならない」「彼らとの協定を破れば滅びることになる」
フロストは吸血鬼のほうが強いのだから、そうはならないだろうと思い込んでいるのだが……
作中ではブレイドだけでなく、彼らの弱点を知るカーティスも吸血鬼達を殺すし、終盤、一人になった女医カレンもニンニクと硝酸銀のスプレーを吹きかけて、吸血鬼の一人を爆散させる。
なによりフロストを殺した毒薬も、女医のカレンが作ったものだ。
弱点を突かれれば、吸血鬼といえど一溜まりもない。戦争になれば、兵器を自由に作れる人間たちに分があるというのは明白だ。
結局はフロストの言い分より、古い純血種達の方が正しかったというのが自然とわかる作りになっている。
変化を拒んではいけない。しかし、古いものに敬意を払うこともまた、忘れてはならない。そういった教訓をブレイドは我々に教えてくれる。
この映画は本格的なアクション映画だ。主人公ブレイドのアクションは本格的で、他にはないスピード感がある。武器や乗り物のデザインも非常にスタイリッシュで、見ているだけで楽しい気分になれる。
だが、それだけの映画ではない。こういった作品に一貫する信念のような物が感じられるからこそ、ここまでの名作になっているのだろう。
いや、まあ……長々と話したけど正直ブレイドメッチャかっこいいし面白いので兎に角見てほしいです。
マジで格好いいから……終盤の儀式で血を搾り取られたブレイドが復活してからの流れとか本当最高だから……頼むわ……
最後にもう一度リンクを張って今日は終わりにしたいと思います。では。
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「スピーシーズ」感想 美女!暴力!セックス!血とおっぱいが見たくなったらこの映画だ!
今日見たのはこちら。
監督はロジャー・ドナルドソン。
モンスターシルを演じるのは、この時映画初挑戦のナターシャ・ヘンストリッジさんです。
この映画はいわゆるB級映画と呼ばれるものらしいのですが、中々人気が出たらしく4まで続編が作られているとか。
実際のところメッチャ面白かったというわけではないのですが、それなりに楽しむことが出来ました。
以下あらすじから感想です。
あらすじ
20年前、アメリカの研究機関が宇宙に送ったメッセージに、返信が届いた。
そこには無限のエネルギーを生成できるメタン用触媒の構造式と、新たな種のDNA配列が記されていた。
そのDNAと人間の遺伝子をかけ合わせて生み出されたのが、美しきモンスター、シル
研究所の責任者、フィッチはシルを危険だと判断し毒殺を命じるが、彼女は脱走。
フィッチは霊能力者のダン、人類学者スティーブン、分子生物学者のローラ、そして殺し屋のプレスを集め、シルを追跡、始末しようとする。
一方シルは本能に従い、自らの子孫を残すために健康な男性の体を求めていた。彼女が子を残せば、エイリアンたちが爆発的に増えることになりかねない。
追跡者達は子を残すより前に、彼女を始末することが出来るのか?
感想
なるほど!これが、こういうのがB級映画か!という感じの映画でした。
まず持ってストーリーが滅茶苦茶単調。
フィッチと集められた4人の仲間たち+モブ捜査官達が、危険なモンスターシルを追うというストーリーなのですが、本当に話がそれに終止してるのがびっくりしました。
シルの状況が描かれ、追跡者が手がかりを見つけて彼女を追い、またシルの状況が描かれ、手がかりを見つけて追い……
というできそこないのターン制ゲームのようなやり取りが、終盤まで延々と続きます。
途中何度もシルがただのエイリアンではなく、人間の部分も持っている……という描写はされるのですが、
結局そこも深く追求されることはなく、シルは助けてくれた人間も邪魔した人間も容赦なく触手で脳を破壊して殺します。
ひどい人だと縛り付けられて一晩中放置された挙句、指を切り取られガソリン満載の車で高圧電流に突っ込んで焼死、とどめにシルが乗っていると勘違いしたヘリコプターにミサイルをぶち込まれて死体まで粉々にされてしまうなど、
普通の作品ならフィッチが殺そうとするからいけないんだ!刺激しなければ彼女は優しかったんだ!という論調になりそうなものですが、これには追跡者の皆さんも苦笑い。
殺し屋のプレスはもとより、心優しそうな霊能者のダンさんも
「人を殺したくなったのは初めてだ」というコメントを残します。
個人的にはやはり彼女は怪物なのだ、という論に持っていくなら鼻からシルをただの怪物として描いてほしかったかな、という気はしますね。
作品中の描写量だと、どちらに転ぶにしても中途半端だった気がします。
それとかなり強キャラ然として登場してきた殺し屋のプレスがどう見ても弱いのもマイナスですね。
作中唯一の戦闘特化キャラなのですが、そもそも映画の大半が追いかけっこパートなのでその力を発揮する機会が少ない。
ローラの助手に立候補すれば鍵を落として実験体をケージから脱走させ、
ようやく初めての戦闘が始まったかと思えばとどめを刺した気になって「やったか!?」を素で披露、敵ごと味方に丸焼きにされかけるなど、かなりのダメっぷりを披露。
クライマックスの戦闘でも最後に美味しいところを持っていっただけで、ほとんどダンくん達が頑張ってたような……
全体としてみるとイマイチな今作ですが、一応見所はあると言えばあります。先程も名を挙げた、霊能力者ダンの存在です。
一応この映画の区分はSFとなっているのですが、まずそこに霊能者という別ジャンルのパワーを持った人間を導入するのが面白いですよね。
単調ではありますが話の流れ自体に無理はなく、そこまでダメダメ、というわけでもありません。
何より、この映画は女性の裸体が大量に見れます。
シルは子供を作りたがってますからね。当然そういうベッドシーンも多くなるというわけですよ。
しかも、モンスターシルを演じるナターシャ・ヘンストリッジさんはメッチャ美人さんです。
“映画史上もっとも美しいエイリアン”という評判に違わぬ美貌の美女が、惜しげもなくおっぱいを晒してくれる……シーンによってはお尻も丸見えです。
はっきり言ってしまうと、ストーリーが単調でも殺し屋がダメでも、彼女の裸を見れるだけで満足だぜ!おっぱい!という殿方は多いのではないでしょうか?
私も正直これだけ脱いでくれるならいいかな……というか裸に集中できるからストーリーもこんなもんでいいかな……という気分になりました。
シルが人間をぶち殺しまくるので、スプラッタシーンも満載。
兎に角血が見てぇ~~!それと女もだぁ~!女を寄越せぇ~!という世紀末思考の人にはイチオシの映画ですね。では。
「96時間」感想 96時間以内に娘を連れ戻せ!元CIA、最強のパパによる無慈悲な暴走が始まる!
昨日は心温まる物語を見たので、そろそろ暴力分を補充したいな~と思って見たのがこちら。
リーアム・ニーソンさん主演のアクション映画、96時間です。
監督はピエール・モレルさん、脚本はリュック・ベッソンです。この二人はよくタッグを組んでいることが多いようですね。
これがまたムッチャ面白かったのでぜひ見てほしいです。
あらすじ
妻と離婚し、今は一人で冴えない毎日を送る元CIA工作員ブライアン。
彼の心の支えは今は離れて暮らす一人娘のキム。
しかしキムは旅行中、宿に押し入ってきた男達に誘拐されてしまう。
誘拐事件におけるタイムリミットは96時間。それ以上の追跡は不可能。
娘を取り戻すため、父ブライアンの孤独な戦いが始まった……!
感想
この映画の見所は父ブライアンの敵に対して一切容赦がない行動の数々でしょう。
目的……娘の安全のためなら、本当になんでもやる人なんですよ。
ぶっ殺すと言った相手は必ずぶっ殺すし、情報をくれた相手でも、娘を攫った組織の人間ならそのままぶっ殺すし、家族がいるんだ話し合いをしようという相手でも迷わず弾丸をぶち込んでぶっ殺すし……
唯一助かったのは敵と通じていた元仕事仲間のおっさんなのですが、その人にしたって妻の腕に弾丸ぶち込まれてますからね。
家族が大切な気持ちは解る。だから家族には手は出さない……とか、そんな生易しい心は持っていません。
いやこれが本当ひっどいんですけど、特に娘を攫った実行犯の最期が最高で。
そいつを縛り上げて電流を流して拷問。結局そいつは耐えきれず娘を売ろうとしている男の名を吐き、泣きながら真実だ、やめてくれと訴えるのですが……それに対する答えがこれ。
「お前を信じる。だが死んでもらう」
そのままスイッチを入れ、結局心臓が破裂するまで犯人は電流を流されて死亡。
このシーンを見ればこいつ本当に容赦なさ過ぎる!いいぞもっとやってくれ!最高だぜお父さん!
と皆さんも思うに違いありません。
お父さんの実力の見せ方もまた上手いんですよね。
格闘戦が強いのは勿論、頭が回るのがいいですね。
わざと弱い客を装って敵の一人を誘き寄せ盗聴器を仕掛けたり。
録音した電話の声から誰が実行犯なのか特定したり。
元同僚の名刺一つで、自分に仲間が何十人もいると思い込ませて敵のアジトにすんなりと入ったり。
この際の、武器を持っているかどうかの問いに対する
「その名刺だ」
という短い答えが本当にクールでカッコイイです。
元CIAだけあって、人脈が広いのもまたいいですね。父ブライアンがどれだけすごい人物だったのかを、多面的に描写してくれています。
最後は娘を買おうとした富豪とその手下を皆殺しにして、無事娘を取り戻してハッピーエンド。
最後の、なんの報酬も受け取らずただ娘の笑顔を見て自分も笑みを浮かべるお父さんの姿に胸を打たれます。
ストーリーの流れも映画的な見どころを押さえていて大変気持ちよく見れました。
少し短いですが今日はこのあたりで。続編の96時間リベンジ、96時間レクイエムもまた折を見てみたいところですね。
続編は追加されていませんが、96時間はアマゾンプライム特典で無料で見れるので興味のある方はぜひ。
それでは。
「しあわせの隠れ場所」ネタバレ感想 胸が温まる……だがそれ以上に胸がスカッとするドラマ映画
今日見たのはこちら。実在するアメリカンフットボール選手マイケル・オアーさんの実話を元にした映画、しあわせの隠れ場所です。
いつも通りささっとあらすじを書いて感想に移りたいと思います。
あらすじ
ビックマイクと呼ばれる大柄な黒人男子、マイケル。
彼は薬物中毒の母親から引き離され、世話をしてくれたビッグトニーからキリスト教系の高校に入れられる。
低い成績から拒否感を示していた教師陣だが、アメリカンフットボールのコーチ、コットンの身体能力を目当てにした熱い説得もあり、マイケルを受け入れる。
しかし、やはりマイケルは勉強にはついていけず。先生も周囲の生徒も彼から距離を取る。
感謝祭の日、マイケルは迷惑になると遂にビッグトニーの家からも逃げ出してしまう。
その先で彼が出会ったのが裕福な白人女性、リー・アンだった。
寒空の元薄着で彷徨うマイケルを家へと招くリー・アン。
彼女の行動力と優しい心は、やがてマイケルの人生を大きく変えていく……
感想
マイケル・オアーさんは黒人で、映画中には差別の描写も結構あります。時には胸糞悪くなることも。
普通の作品ならこのもやもやはその後もなが~くあとを引くことになるのでしょうが……この映画は違います。
もやもやしてからさして時間を置かず問題が打破され、うおー!爽快ー!という気持ちにさせてくれます。
そんな展開を可能にしているのがスター選手、マイケル・オアーを差し置いて主役を張っている、スーパージョック夫人リー・アンの存在です。
彼女の行動力が本当に凄まじいんですよね。
例えばマイケル・オアーを最初に家に招くシーン。
彼の姿を見ても車を走らせようとする夫を止め、自分から立ち去ろうとするマイケルの手を引いて車の中に強引に連れ込み、自らの家へ招待します。
アメリカでは黒人には危険だとか野蛮だとかというレッテルを貼られている時代。
そんな中躊躇いなく、マイケルのような大柄な黒人を家に連れ込む事ができる人間がどれだけいるでしょうか?
マイケルも彼女の優しさに答えてくれるところが本当にいいですね。
このやり取りは冒頭30分ほどで行われるのですが、この部分だけでも十分すぎるほどのカタルシスがあります。
彼女の家族がマイケルをすんなり受け入れてくれる所もストレスレスでいいですねー。
子供のS・Jなんて見た目は生意気そうな顔してるのにマイケルに懐きまくりですからね!
無邪気で無垢な子供って感じが愉快で可愛いやつなんです。
その後もマイケルに難が降りかかる度にリーが解決していくのですが、そのテンポがすっげーいいんですよね。
目の前に誰が立ちはだかろうが、リー・アンが持ち前の行動力と胆力、そしてなにより圧倒的ジョック・パワーと財力で全てをなぎ払いマイケルを幸福へと導いていくのが痛快痛快。
おいこれ本当に実写!?異世界転生物の現代翻訳じゃねえの!?と疑いたくなってくるほどです。
黒人差別、貧富の差をテーマにした映画はいくつか見てきましたが、ここまで娯楽的作品に昇華しているのは初めて見るかもしれません。
いや~自分は差別とかあると引いちゃうからな~!人間のみ悪いところを見せられるのはきついんだよな~!
という人も食わず嫌いせず、是非見ていただきたいです。
最後にもう一度URLを張って終わりにしたいと思います。では。
響 〜小説家になる方法〜 1~6巻感想
友人から勧められて読みました。
滅茶苦茶面白かったです。
主人公は圧倒的な文才を持つ女子高生、鮎喰響(表紙の子です)。
彼女がその才能と作品で、停滞していた文学界を変えていく……という物語です。
最初に話を聞いた時は、この響さんが圧倒的な才能パワーで周囲の作家や友人をボッコボッコに完膚なきまでに打ちのめす作品という印象でした。
私も一時は小説家を目指したこともある身、正直読んだらストレスで胃袋がズタズタに破壊されて再起不能になるだろうと思い呼んでいなかったのですが、読んでみたらま~面白い面白い。
この主人公鮎喰響さんの造形がすごいですね。
不良に殺すぞと脅されたら殺し返すためにボールペンで目玉を狙い。
先輩と本の置き場で争ったら本棚を倒して自分の意見を通し。
芥川賞授賞式では、壇上で喧嘩を売ってきた作家の鼻骨をパイプ椅子で叩き折るという兎に角やることなすことぶっ飛んでる子なんですが……
これが不思議と嫌いになれない……というか、読んでるとこの子が可愛いくなってくるんですよ。
どう考えても頭のおかしい狂人なんですが、それを「鮎喰響」という一人の女の子として落とし込むのがめちゃくちゃ上手い。
自身と周囲の価値観に悩みもしますし、何より彼女は彼女なりに自分の友人達を大切に思っているんですよね。
手を出す理由も喧嘩を売られたから、もしくは彼女の周囲の人達が傷つけられたからというのが殆ど。
(とはいえ喧嘩を売られる切欠は響の天然煽りだったりするんですけど)
そして何より大抵、打ちのめされた相手も不幸ではなく幸せになるのがいいですね。
才能で相手の心をへし折る、というよりも、相手を変えてしまうというほうが正しかったな、と読んで思いました。
美少女のビジュアルになっているお陰で天才特有のずれた発言も可愛いさに繋がっていますし……
これ最初から全部わかっていて作ったキャラなのか、修正の後今の響きなったのか、作ったらいまの響になったのか。気になるところです。
また彼女周辺のキャラクター配置も見事です。
特に響の世話をし続ける涼太郎の底知れなさと響への異常な思いは、響がこれまでどうやって生きてきたのかのアンサーとして非常に綺麗で、かつキャラクター単体だけで面白いですし、
他のキャラクターも響へ与える影響、与えられる影響双方ともに面白いキャラばかりです。
一つ一つの話の作り方もかなり上手い……話の起点から終点まで読んだ時の満足感が半端ないです。
芥川賞編はほぼ全員の話で泣きかけました。
どのエピソードも読み終わった時はすげー気分が良くなります。
なんかすごい賞を取ったという話ですが(マンガ大賞2017)超納得の出来。
これ絶対ドラマ化すんじゃねえかな~!ちゃんと響ちゃんは可愛いメガネっ娘のままにしてくれよな~と切に願います。
最後にアマゾンへのリンクを張って終わりにしたいと思います。
では。
「コンスタンティン」ネタバレ感想 中二力溢れる退魔ガジェットがいかす、スタイリッシュエクソシストの決定版!
時間がないので今日は短めに。
今日見たのはキアヌ・リーブス主演のファンタジー・アクション映画「コンスタンティン」
公開当時はかなり評判になったらしく、評価も高いですね。
僕もこの映画は大好きで、10回近く見ている気がします。
ではいつも通りあらすじから
あらすじ
ジョン・コンスタンティンは地獄行きを免れるため、日々悪魔たちを地獄へと送り返していた。
彼は仕事中、悪魔の動きに異常を感じ、仲間と共に原因を調査しはじめる。
同じ頃、警察官のレイチェルも妹の自殺に違和感を抱き、彼女の死の原因を探っていた。
監視カメラに写る妹、イザベラを見つめるレイチェル。すると一度だけ、イザベラの唇が動く。
「コンスタンティン……」
妹の言葉を頼りに、ジョンの元を訪れるレイチェル。
事件を追ううち、二人は人間界全てを左右する悪魔たちの巨大な陰謀へと巻き込まれていく……!
感想
何度も見ている映画なのですが、やっぱり見るたびに最高だと思っちゃいますね……
主人公、ジョン・コンスタンティンのスーツ姿かっこよすぎだとか、この悪ぶったアンチヒーロー感が最高だとか、
相棒チャズ・クレイマーのヘタレぶりとジョンに憧れる子犬感が超可愛いとか、終盤での活躍がほんとほっこりするとか、
ヒロインレイチェルがちょいちょい濡れ透けでエロいとか……
色々語りたいことは有るのですが、何と言ってもこの映画の魅力は全編を通して画面から溢れる
圧倒的中二力でしょう。
それに加えて天使と悪魔の戦いとかコリント書とか黙示録とか、聞いただけでテンションが上りまくるワードが満載です。
しかもまたジョンの使う武器がクソかっこいいんですよ!
祈りの言葉の入った黄金のメリケンサック!法皇暗殺未遂の弾丸!ヨルダン川の聖水のアンプル!悪魔の棲む家のキーキー虫!(キーキー虫は微妙かも)そして極めつけに“ドラゴンの息”という名の火炎放射器ですよ!
名前を聞いただけでもかっこいいのに、終盤ではこれらの武器を改造して金の弾丸を作成したり、ドラゴンの息を銃器と組み合わせてショットガンに改造したり……
もうやめてくれ!俺達はもう十分に痛いんだ!これ以上聖戦士にしないでくれ!とばかりにガッツンガッツンケレン味のある武器をぶち込んできます。
ほんとこれがビジュアルになった時の興奮半端ないんでぜひ見てみてください。
ギミックだけでなくストーリーも一級です!中二力溢れる武器の数々や、悪魔を素手でぶん殴る不良エクソシストの姿が見たくなったら是非見てください!では!
「長ぐつをはいたネコ」ネタバレ感想 かっこかわいいギャップ系キャラの完成形、主人公プスと共感力マックスの悪役ハンプティ・ダンプティが最高のアニメ映画
今日見たのは3DCGアニメ映画、長ぐつをはいたネコ。
監督はシュレックスリーでも監督を努めたクリス・ミラーさんです。
立ち振舞と声は渋くてかっこいい、しかし見た目は完全にネコ。
そんなギャップが光る長ぐつをはいたネコ、プスが活躍するキッズ・アニメーションです。
長ぐつをはいたネコはグリム童話などでも有名ですが、ストーリーはオリジナルのもの。
また、この作品はシュレックシリーズのスピンオフ作品なのですが、シュレックの方と共通する登場人物も主人公のプスだけで、特に前提知識が必要なシーンもなし。
単体で非常に綺麗にまとまっている作品なので、これだけ見てもメッチャ楽しめます。
シュレックシリーズ視聴者へのサービス等はないので、むしろこっちを先に見て、シュレックでもプスが出てきてる!イエー!となったほうがより楽しめるかもしれません。
こっちにシュレックのURLも張っておきますね。(ネコが出てくるのは2作目からです)
では軽いあらすじから感想。
あらすじ
長ぐつをはいたネコ、プスはならず者でお尋ね者。
怪盗だが、教会と子供からは盗まない。狙うのは金目の物と、伝説に出てくる魔法の豆。
彼は悪党、ジャックとジルから魔法の豆を盗もうとするが、女怪盗、摺り師のキティーと鉢合わせ失敗。
邪魔をされた腹いせに彼女を追うと、その先にはかつてプスを騙し、彼が無実の罪を被るきっかけを作った男、ハンプティ・アレクサンダー・ダンプティがいた。
(このハンプティはみんなも知ってるハンプティダンプティをモデルにしたやつで、完全にたまご)
プスとハンプティはかつて義兄弟の契を結んだ仲。
過去のことは謝る。共に魔法の豆を手に入れ、空の城にある「黄金の卵」そしてそれを生む「黄金のガチョウ」を手に入れようと申し出るハンプティ。
一度は断るが、黄金の卵を使えば失った名誉を取り戻せるかもしれないと、ハンプティと再び手を組むことを決めるプス。
だが、ガチョウを手に入れたプスを待っていたのは、予想もしない巨大な罠だった……!
果たして長ぐつをはいたネコは、失った誇りと名誉を取り戻すことはできるのか……!
感想
いやまあメッチャ面白かったです。
わかりやすく、それでいて飽きさせないストーリーライン。キャラクター、子供を楽しませるためのアクション、ハッピーエンドで終わる爽快なラスト。
流石にでけえアメリカの会社が金かけて作ったもんはちげえなと思わざるをえない、完成度の高い映画でした。
中でもキャラクター。
主人公プスの完成度もさることながら、その相棒であるハンプティ・アレクサンダー・ダンプティが非常にいいキャラしてます。
役どころで言えばこいつは結局クライマックスでプスを騙して罠に嵌め、しかも故郷の町をぶち壊そうとする悪役なのですが、その背景が良くできているといいますか。
元々、プスとハンプティは孤児院で共に暮らしていた孤児だったんですね。
プスとハンプティはお互いがお互いを助けたことで親しくなり、やがて協力して魔法の豆を追い求める仲になっていくわけです。
最初は本当に二人共仲が良くて、ハンプティもプスの事を信頼していて、お互い足りないものを補い合って、いい相棒してるんですよね。
やることは盗みなんですけど。
その二人の仲に亀裂が入り始めるのが、プスが所長の妻を助け、長靴を送られた事件。
これを機にプスは町の英雄に。盗みを引退。それに対してハンプティは夢を諦めきれず、犯罪を重ね何度も牢にぶち込まれます。
英雄と犯罪者。段々と距離が離れていく二人。
ここの、悪の道に進もうとするハンプティとプスのやり取りが最高です。
英雄として祭り上げられ、故郷に愛着を持ち始めたプスは
「ここは故郷だ!この町の人達はお前に何もしてない!」
とハンプティを止め。
周りから虐められ、犯罪者としてしか扱われたことのない、故郷を憎むハンプティは
「生まれ故郷でもない!親もいない!頼れるのはお互いだけだ!」
「長ぐつをもらったから、俺とは格が違う!?」
とプスへの不信を募らせる。
立場の違いから来る二人の対比が物悲しくも非常にわかりやすく描かれています。
このわかりやすさというのが子供向け映画に限らず、創作物には非常に大事だなと感じますね。
この後ハンプティはプスを騙して銀行を襲わせる手伝いをさせます。
ここでプスは警官に連れ去られるハンプティを見限り、名誉と最愛の友を失う事になるのですが……
仲違いのシーンが有るお陰で、ハンプティは根っからの悪人ではない、という事が伝わってくるんですよね。
犯罪を犯し、プスを騙しはするのですが、「彼との友情は本物」なんです。
だからこそ、プスが離れていくのを恐れ、騙してでも仲間にしようとするし、警察が来た時、プスがハンプティを見捨てたのが許せなかった。
友情が大きく、本物だったからこそ、憎しみも大きくなる。巨大な罠を仕掛けてプスに復讐しようとするわけです。
そして騙した後でも、彼のことを大事だと思っているからこそ、
クライマックスでプスが己の間違いを認め、ハンプティのことを許した時、
彼との友情を取り戻すために街を救うため立ち上がるわけです。
この一連のハンプティの感情の動きが一つに繋がっているのが本当に素晴らしいと思いました。
いいやつから悪いやつに、悪いやつからまたいいやつに。ポジションがコロコロ変わるのに、不自然さが見受けられないんですよね。
まあ更に何と言っても、このハンプティが改心する際の演出も最高で。
「お前は悪人ではない、発明家だ。正しい事をするのに遅すぎるなんてない!わかってる。本当はもっといいやつなんだろ?」
ここのプスのセリフも最高ですし、その後空へ飛び立つハンプティの姿が、
子供時代、初めてハンプティがプスに発明品を見せた時のリフレインになっているのも最高です。
やり取りの後、最後にこの映像が出てくることで、
「二人の関係は、かつての子供時代、真の友情で結ばれていた頃に戻ったんだ」ということが言外に語られていて。
プスとハンプティは、失っていた友情を取り戻したんだ!最強コンビの復活だ!巨大な化け物が相手でも、もう負けるはずなんてないぜ!とクライマックスのテンションを最高まであげてくれます。
いや本当にこのシーン最高なんで見てほしいです。
最後に、街を救うかそれともハンプティを救うか、プスが二つに一つを迫られるシーンが有るのですが、そこでのハンプティも最高にかっこいいです。
そしてラストも……兎に角ハンプティが好きすぎて。
彼はプスと並ぶ、二人目の主人公と言っても過言でもありません。変わった、という点で言えばきっとプス以上のものが有ると思います。
勿論主人公のプスだっていいキャラしてるんですよ!
吹替版での竹中さんのクッソ大人でかっこいい声と演技。時折挟まれるネコとしての愛らしさと怪盗キャラとしての哀愁漂う言動のギャップがもう……ね。
そりゃあ世界中から愛されてスピンオフだって作られますよ!という圧倒的完成度です。
ストーリーを彩る音楽もいいし、アクションシーンも動きを見ているだけできっと子供が楽しむだろうなー!と感じさせられ、マジで非の付け所が見つかりません。
明るい気分になりたい、童心に帰りたい、楽しいハッピーエンドの物語が見たい、となったら真っ先にこれをおすすめしたいですね。
皆もプスとハンプティの関係で暑く滾ってほしいぜ~
という感じで今日の感想はこのあたりで。
最後にもういっちょアマゾンのURLを張って終わりにしたいと思います。では。