ホビット 思いがけない冒険 感想
指輪物語を見ようかなあと話していたら、友人から「ホビットがアマゾンプライムで無料だからとりあえず見れば?面白いよ!」と言われたので見てみたよ。
正直あまり面白くなかったので、今後その友人の映画評は信じないようにしようかなと思う。
下から書いてある感想もネタバレ有りだし割とボロクソに言ってるので苦手な人は注意してほしい。
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簡単にあらすじを言うと、大昔ドワーフの王国がとんでもねえクソ悪党ドラゴンに襲われて崩壊。
ドワーフの奴らは命からがら逃げ出して王国を取り戻す機会を伺い、遂にその時がやってきた!
さあデカトカゲドラゴンをぶっ殺して祖先の復讐をするぜ~!と意気込んで旅にかかったものの、ドワーフは腕っ節は立つけど頭の悪いおとぼけ脳筋種族。
このままではドラゴンのもとに辿り着く前に全滅してしまうだろう。
そこで人間の魔術師ガンダルフ君は「ホビットの奴ら、小さいし器用だし勇気も有るし、斥候に最適じゃね?」と言って若きホビットのビルボ・バギンズを旅の仲間に加えようと決める。というお話。
とまあ別に仲間に加えるのはいいんだけど、このガンダルフの野郎がマジでクソ野郎で、なんの連絡もよこさずいきなりビルボの家に尋ねてきたと思いきや、
「わしわし!え~?覚えてないの?わしだよ~!?ほら花火打ち上げてたじゃ~ん!旅行こうよ旅~!一緒に~!」
と詐欺集団も真っ青な凄まじく雑な勧誘でビルボを連れ出そうとする。
ビルボが嫌がっても、
「いやお前のためにもなるから!お父さんに恥ずかしくないの!?一緒にいくぞ~楽しみ~!」
と勝手に決めつけて、それでも嫌だと断るとブチ切れて玄関に魔法の文字を残してドワーフ達を勝手に家に招いてくる有様。
現代だったら不法侵入と器物損壊、騒音被害で間違いなくしょっぴかれてる場面なのに。
最悪なのがその後。ガンダルフが招いたせいでビルボの家の中にガンガンドワーフ達が足を踏み入れてくるんだけど、こいつらも話を聞かない。
ビルボの夕食を勝手に食い、食料庫に足を踏み入れてワインやチーズ、保存食を片っ端から食い荒らしていく。お前ら食ってばかりかよ……
結局やってきたドワーフは15人。驚くことに誰ひとりとしてビルボの話を全く聞かない。ほとんど野盗。
食べ終わったあとの片付けで
「ね?こいつらもいい奴らだろ?」
みたいな顔でガンダルフが微笑んでくるんだけど、見てるこっちからしてもビルボからしてもドワーフはファック野郎どもにしか思えない。
この時点で好感度最悪なのに、遅れてやってきたドワーフの王様トーリンは
「おまえ忍びっていうか八百屋ー!こんなやついらね~!」
といきなり罵倒してくる。
いやお前らの旅に付いていくなんてこっちから願い下げだわ……
絶対ビルボもそう思っていたはずだ。俺もそう思う。
なのに、なぜかビルボはドワーフ達の後を追って旅に同行することを決める。
こいつに人の心はない……ビルボ!この物語の操り人形めが!と思い出すのはこの辺りからである。
そしてさらに困ったことに、このドワーフ共、頭が悪く短気な上に、なんと自慢であったはずの戦いにおいても全くと言っていいほど役にたたない。
「細腕~!」「ホビットじゃあ一晩も持たねぇ~!」
とビルボ君を貧弱だなんだのと罵っていた割に、戦いになったら一瞬でやられる。
途中、トロルに盗まれた馬をビルボが取り返しにいくシーンが有る。
ビルボは失敗して危うく食われそうになり、それをドワーフ達が助けて不仲解消!お互い勇気と武勇を称え合ってウィン・ウィンだ!なんて考えていたら、
たった三匹のトロルに十五人のドワーフは手間取り、結局ビルボを人質に取られて負ける。荘厳な音楽が流れ、完全に勝利ムードに入っていたのにも関わらず負ける。
その後オークと出会ったときにも逃げるだけで全然反撃できないし、谷でゴブリンの群れに出くわしたときも為す術なく連れて行かれて死にかける。
お前らそれでどうやってドラゴン殺すつもりだったの!?トカゲか何かと勘違いしてない!?と突っ込みたくなる位弱い。
エルフの王子が「いや絶対無理だから止めろよ……ガンダルフも馬鹿言ってないでこいつら止めろよ……」と言うのも頷ける。
恐らくこのエルフの王はイヤミを言ってくるポジションの人だと思うのだが、それが正論に聴こえてくるくらい、とにかくドワーフ達が役に立たない。
しかも、ビルボへの悪口は終盤に入っても全く消えない。毎回ぼろくそに言うし、
「そんなこと言ってどうせ里に帰りたいんだろ!?どうせついてきても死ぬぞ!関係ないんだからさっさと帰ってよね!」
と面倒くさいツンデレみたいに繰り返してくる。なんでビルボは付いていくんだろう……一応劇中で答えられるが、こいつもとんだお人好し……というかやはり物語に操られているようにしか見えない。
その後ビルボがトーリンを助けて勇気を認められる場面でも、正直勇気より愛想を尽かさなかったほうに感謝したほうがいいんじゃねえかな……と感じてしまう。
延々ドワーフ達の悪口ばかり言ってきたが、正直なところビルボもあんまり役に立たない。
忍ぶ場面では毎回見つかるし、戦いではか弱いドワーフ達以上に役に立たない。知性の方もせいぜいドワーフ達がキレにくくなった位のものである。
頼みの綱はガンダルフしかいないのだが、この人もへそ曲がりで、ピンチの時に限ってドワーフの王、トーリンと喧嘩していてその場にいない。
一行が本当に全滅しかけた時になって漸く出てくるので、許してくれるタイミングを見計らってるんじゃねえのと勘ぐってしまう。
それでも戦闘に限ってはやはり最強なので無碍にすることもできない。困ったおじいちゃんである。
とまあここ迄登場人物の悪口ばかり書いてきた気もするが、もちろんいいところもある。
ガンダルフがビルボに勇気がなんたるかを語るその内容は王道らしく熱いものだし、ビルボがドワーフ達についていく理由も素直にかっこいい。
そして何と言っても音楽がいい。上記の通り登場人物の人格がアレなのでいまいち見せ場のシーンでも盛り上がりに欠けるのだが、場面場面に合った音楽を流されると
「あっ!ここで泣けばいいんだ!」
「きっとここはかっこいいシーンなんだ!」
というのがしっかりと理解できる。
また、映像美も素晴らしい。
旅の間に挟まる遠景のシーンなどはさすがファンタジー映画の王道、金をかけて作ったのだろう。壮大で美しいと素直に感心させられる。
主人公たちの行く手を阻む怪物たちの迫力も凄まじい。ゲームではやられ役が板についてしまったゴブリン、オークなどの下級モンスターでさえ、十分な脅威なのだとわかる。
特に、石巨人が出て来るシーンには驚かされた。ドラクエやFFの勇者たちはこんなものを剣や斧で叩き割っていたのか?と考えると、彼らがどれだけ選ばれた特別な人間だったのかを噛みしめることができる。
当たり前だがドワーフ達がどうこうできる相手ではない。嵐や地震、災害に合った時と同じように、静かに彼らの動きが治まるのを待つしかないのだ。
このホビットは三部作として作られているらしく、一作目はドラゴンのいる城の前にたどり着いた所で終わる。
最後にドラゴンが映るのだが、この場面も絵になっている。金貨の山が崩れ、中で眠っていたドラゴンが瞳を開いた所でカット。
脅威と期待を煽るいいラストだと思う。
この駆け出し冒険者クラスのドワーフ達がどうやってこのドラゴンに勝つのか、まるで想像がつかないのが難点と言えば難点だが。
ここまで長々と書いたが、まとめると一作目は「話は面白くないが、映像目当てに見るならオススメ」といった感じだろうか。
もしかしたら中には十五人のむさ苦しいドワーフ達の中にお気に入りを見つけれる人もいるかもしれない。
散々悪く言ったが中にはビルボを認めるドワーフもいるし、トーリンも最後には真の仲間としてビルボを迎えてくれる。何より、そういう奴らはイケメンだ。
ビルボやガンダルフのことが好きになる人いるだろう。ビルボはおちゃめなところもあるが根はいいやつでドワーフたちよりよほど人格者だ。ガンダルフは戦っている姿がかっこいい。
彼らのうち一人でも好きになった人物がいたなら、第二作目を見るのもいいかもしれない。
それと映画の感想を友人に伝えたところ、「俺が面白いって言ってたのは二作目だよ。一作目じゃないよ。ごめんね」とお叱りを受けた。
次回作がとても楽しみだ。
皆もぜひ二作目に当たる『ホビット 竜に奪われた王国』を見てほしい。
終わり