ぺんすけの感想記

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「ブリッツ」ネタバレ感想 ステイサムさんなのにアクション控えめ!?ハードな人情描写が光るサスペンス映画

 

ブリッツ (字幕版)

ブリッツ (字幕版)

 

 

 今日紹介するのはジェイソン・ステイサムさん主演のサスペンス映画「ブリッツ」。

 

 ジャンル通り、ステイサムさんにしては珍しくアクションは控えめですが、主人公ブラントの役と演技がマッチしていて堪らない出来でした。以下あらすじと感想です。

 

あらすじ

 主人公ブラントは被疑者への暴行など幾つも問題を抱えた不良刑事。

 

 ある日、彼の担当する区域で、ブリッツを名乗る男による警官を狙った連続殺人が起きる。

 

 ブラントの友人である警部ロバートも狙われ、その命を落とした。

 

 仲間をやられて黙ってられねえ!ブラントは新任警部のナッシュと手を組み、共にブリッツを捕らえようとする。

 

オススメ度:7(10段階中7)

 

 この映画の主人公、ブラントにはアクションというよりもバイオレンスという言葉が似合う。

 

 冒頭からチンピラどもをホッケースティックでしばきあげ、バーでは暴行犯をバールで滅多打ち。

 

 繰り広げられるのは対等な殴り合いではなく、一方的な虐待だ。

 

 情報提供者を脅すことなどザラ。その矛先は行動を諌めようとした上司にすら及ぶこともある。

 

 刑事という立場、そしてその迫力から、相手は文句をいうこともできない。

 

 他の映画なら悪役として描かれ不快感すらいだきそうな造形だ。

 

 それでもブラントが魅力的な主役として成り立っているのは彼の根にあるのが正義感だというのが繰り返し語られているからだろう。

 

 

 相手が変われば傷心した仲間を慰め、ゲイだからといじめを受ける新任警部ナッシュにも偏見を持たず、いい実力を認め相棒として扱う。

 

 暴力を振るうのも、悪党を許さないという強い信念があるから。彼は法を犯しはするが、権力を振りかざし私腹を肥やすような悪党とは真逆の存在なのだ。

 

 何より、演じているジェイソン・ステイサムさんが最高にクールだからだろう。非道な発言も行動も、彼が言うなら「あり」だと思ってしまう。

 

 役者の特徴を捕らえた見事なキャスティングだと感心せざるを得ない。

 

 アクションは控えめだが見所はいくつも有る。

 

 特に今作では、登場人物の抱える善と悪の側面両方を描いた人間ドラマが見所だ。

 

 主人公ブラントは言わずもがな。その相棒であるナッシュも、一見おとなしく優等生然とした見た目からは想像できない、以外な闇を抱えている。

 

 ブラントがナッシュの家を訪ね彼の過去を聞くシーンは、派手な動きはなくとも彼の立ち位置が変わる今作を象徴するようなシーンだと思う。

 

 他にも悪が善に、善が悪に。対立する価値観でありながら、人はどちらかの立場にだけ立つことはできない。

 

 ほんの少しの行動で悪と善を行き来できてしまうのだ、とでも言いたげな描写がいくつもこの映画には見られる。

 

 なぜこの映画に、ブリッツという劇中で活躍する悪役の名をタイトルとしてつけたのか?

 

 テーマに注目し、最後まで映画を見切れば自ずと理由はわかるように作ってある。最後の台詞には心底しびれた。

 

 

 勿論テーマ主導ではなくしっかりと娯楽として楽しめるように作られている。

 

 あまり考えずに見ても兎に角かっこいいステイサムさんが活躍しているので皆も盛り上がれるはずだ。